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オンライン カジノ 60年後、東京でお花見はできない? 気候変動による「桜が咲かない」未来

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春の代名詞である桜、なかでも‘染井吉野’が、日本の風景から消えてしまう日が来るかもしれない──。近年、桜前線の始発点であるはずの鹿児島で、東京よりも開花が遅れるという「逆転現象」が頻発しています※1

しかし、この異変は日本の南側だけの話ではありません。およそ60年後の東京では現在の鹿児島と同じ気候状態になる可能性があると予測されており、私たちの慣れ親しんだ「満開の桜」は見られなくなる危機に瀕しています。

今回は、桜研究の第一人者である森林総合研究所の勝木俊雄先生に、温暖化が招くメカニズムと、接ぎ木でクローンとして増やしていく‘染井吉野’が抱える宿命、そして私たちがこれから選ぶべき「新しい花見のかたち」についてお話をうかがいました。

※1 参照「気象庁. “さくらの開花日(2011-2020年)” .気象庁ホームページ. , (閲覧日:2026年2月9日) .」※2014年ごろから逆転現象が起きている

INDEX

桜が美しく咲くために必要なこととは?

─桜は「気温が上がれば咲く」というのが一般的なイメージですが、実際には鹿児島などの暖かい地域で、「桜の開花が遅い」「満開にならない」といった異変が起きていると聞きます。暖かすぎると逆に咲かなくなるというのは、どういうことなのでしょうか?

勝木:多くの人が「春に暖かくなれば桜は咲く」と考えています。しかし、じつは桜が美しく咲くためには、春の暖かさと同じくらい、冬の厳しい寒さが不可欠なのです。

なかでも‘染井吉野’は夏に翌年の花芽をつくったあと、休眠に入ります。この眠りから覚めるための目覚まし時計が「冬の寒さ」です。これを「休眠打破」と呼びます。

具体的には、4℃前後の寒さに一定期間さらされることで、初めて「開花スイッチ」がオンになります。この休眠解除に必要な低温の蓄積の指標が「チルユニット」です。‘染井吉野’の場合、計算方法によって多少の違いはありますが、大体1,450時間(約60日分)くらいの蓄積が必要だといわれています。

─寒さが足りなくなると、どうなってしまうのでしょうか。

勝木:冬に十分な寒さを経験できなかった‘染井吉野’は、春になってもシャキッと目覚めることができなくなります。いまの南九州などの‘染井吉野’の状況がまさにそうですが、「寝ぼけたまま無理やり動いている」ような状態ですよね。

本来であれば、休眠打破のスイッチが入ったあと、気温が上昇すると植物の活動が活発になり、花芽が成長して開花に至ります。しかし、スイッチがしっかり入っていないと、いくら春に暖かくなってもゆっくりとしか花芽は成長しません。

その結果、一斉に咲かずにダラダラと咲いたり、満開にならないまま葉が出てきたりします。その結果、同じ木でも咲くタイミングがバラバラになってしまうんです。

いまの鹿児島は「60年後の東京」の姿?

─かつては南から順に北上していた「桜前線」も、最近は様子が違うようですね。

勝木:ええ。近年では、南から北へ単純に並ぶ桜前線が崩れる年があります。気象庁の観測でも、2020年には鹿児島が東京より8日も遅く開花しました。この「逆転現象」は、鹿児島が寒さ不足でしっかり休眠から目覚めることができなかったために起きたようです。

私の研究チームが行ったシミュレーションでは、かなり衝撃的な結果が出ています。じつは計算上、いまの鹿児島の気候条件ですら、代表的な桜の種類である‘染井吉野’が正常に開花できる確率はすでに「10年に1度」程度にまで落ち込んでしまっているのです。

実際、近年の鹿児島では開花時期が極端に遅れたり、開花しない花芽が増えたりと、まともに咲かない年が増えています。そして50年後には、まったく開花しない年も出てくるでしょう。

異常気象により満開にならなかった‘染井吉野’の様子(写真提供:勝木俊雄)

異常気象により満開にならなかった‘染井吉野’の様子(写真提供:勝木俊雄)

─歴史的に見ても、これほど桜が咲かない時期というのはあったのでしょうか。

勝木:じつは、1,000年単位の長いスパンで見ると、平安時代なども比較的温暖で、桜の開花が早かった時期があることがわかっています※2。大阪公立大学の青野靖之先生の研究や、ヒノキの年輪幅から過去の気候を推定する研究などからも、過去に温暖な時期があったことは示されています。
※2 参照「 “BBC NEWS JAPAN ” .京都の桜、過去1200年で最も早く満開に=研究. 2021年3月31日.   , (閲覧日2026年2月9日) .」

しかし、現代の気候変動が過去と決定的に違うのは、「地球規模の温暖化」に加えて、都市特有の「ヒートアイランド現象」が重なっている点です。

─二重の温暖化が起きているわけですね。

勝木:そうです。コンクリートやアスファルトに覆われた都市部は熱を蓄えやすく、夜になっても気温が下がりません。これが‘染井吉野’にとっては致命的です。本来なら夜間に寒さをチャージしたいのに、夜も暖かいままでは休眠打破が進みません。

シミュレーションによると、およそ60年後の東京は、現在の鹿児島と同じような状態になる可能性があります。60年後、私たちが知っている「満開の桜」は、東京では見られなくなっているかもしれません。

温暖化で‘染井吉野’が全滅する可能性も

─群生する桜が一気に満開を迎えることで、その美しさが際立つように感じます。今後は、そういった千本桜や桜並木などが見られなくなってしまうのでしょうか。

勝木:そうですね。日本中に植えられている‘染井吉野’は、すべて接ぎ木(土台となる植物に、違う種類の植物の茎や枝をつなげて新たな個体として育てる繁殖技術のこと)でのみ増えますので、同一の遺伝子を持っています。

同一遺伝子のクローンであることには、たしかに大きなメリットがあります。どの木も同じ条件で反応するため、同じタイミングで咲き、同じタイミングで散ることができる。さらに‘染井吉野’はほかの桜と比べ成長スピードが格段に早く、10年ほどで立派な花を咲かせます。だからこそ圧倒的に美しい桜の名所をつくりやすく、また気象観測の指標としても優秀です。

勝木:しかし、それは同時に致命的なデメリットも抱えています。個体差がないため環境変化に対して同じ反応を起こし、すべての木々が一気に全滅するリスクも共有してしまっているのです。

─多様性がないことが、大きな弱みになっていると。

勝木:皮肉なことですが、私たちが愛してきた「一斉に咲き誇る美しさ」こそが、気候変動時代においては最大の弱点になる可能性があるわけですね。

気候変動の時代に更新すべき「花見の作法」

─桜が咲かなくなる未来を避けるために、私たちはどうすればよいのでしょうか。

勝木:もちろん気温の上昇を抑えるための気候変動対策は重要ですが、気温の上昇を完全に止めることは難しいでしょう。そのため、私たちの「お花見のスタイル」自体をアップデートしていく必要があると私は考えています。

無理に‘染井吉野’を維持しようとするのではなく、その土地の環境に適応した桜を選択していく動きがすでに始まっています。たとえば、暑さに強い種類や、その土地自生の野生種への植え替えです。代表的なものではヤマザクラ、私が発見した紀伊半島のクマノザクラなども、‘染井吉野’に代わる選択肢の一つになり得ます。

クマノザクラ(写真提供:勝木俊雄)

クマノザクラ(写真提供:勝木俊雄)

─「‘染井吉野’の満開」だけが花見ではない、ということですね。

勝木:そうです。明治時代以降、私たちがつくりあげた「満開の‘染井吉野’の下で宴会」というスタイルは、いってしまえば150年ぐらいの文化に過ぎません。多様な種類を植えれば、早咲きの桜もあれば遅咲きの桜もあり、長い期間、春を楽しむことができます。また、一本の巨木を静かに愛でる「一本桜」のような楽しみ方もあります。

‘染井吉野’のみの桜並木から、多様性のある桜の森へ。私たちの美意識や楽しみ方をしなやかに変化させていくことで、100年後でも桜を楽しみ続けられるのではないでしょうか。

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所

勝木俊雄

1967年福岡県生まれ。農学博士。国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所所属。サクラ類を中心に、植物分類学・森林生態学・樹木学の観点から研究を行う。紀伊半島で野生の新種「クマノザクラ」を発見し、2018年に新種として公表。主な著書に『桜の科学』(SBクリエイティブ)、『桜』(岩波新書)など。

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取材・執筆:松本友也  メイン画像:小林ラン  編集:森谷美穂(CINRA, Inc.) 

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